「吸血鬼」の伝承が残るとある街ではここ数週間、夜な夜な何者かが住民を連れ去る事件が起こっていた。
街の有力組織であるパエリ商会の会長と顔馴染みであるイポスは依頼を引き受け、これがメギドの関わる案件であると判断したイポスはソロモン一行を引き込んだ。
ひとまず街を散策する一行だが、市場にヴィータがやすやすと手に入れられるはずもない幻獣由来の素材が数多く出回っていることに疑問を覚える。
「吸血鬼」の正体はアクィエル。
ブネも交戦時に名前を耳にしてから思い出すのに手間取った、遥か昔に死んだはずのメギドであった。
彼の眠る「棺桶」を開いて蘇らせた盗賊が嘯いた「友達」という言葉に感銘を受け、「友達」という建前で散々に利用されては最終的には加減を知らない脅威に恐れをなして捨てられる、ということを何度も繰り返していた。
そしてこの街には、吸血鬼の他にもう一つ、100年前に街を様々な危機から救った「フライパンの聖女」の伝承があり、石像まで立てられていた。
その石像を見たソロモンは、その姿がアイムによく似ていることに気がつく。
一行はアクィエルと交戦し、有利に戦いを進めるものの追い詰めることができず、取り逃したまま「吸血鬼」の根城として伝わる古城に侵入することとなった。
彼が何かにつけて「友達のため」と繰り返すさまを見て、その「友達」が何者なのかが解決の糸口になるのではないかと考えつつ、情報収集のために古城の探索を始める。
一方その頃、アイムは買い出しのために100年ぶりに訪れたこの街で不運にもアクィエルに襲われ、古城の地下に多くのヴィータと共に捕まってしまっていた。
隙を突いて看守を昏倒させ、続いて見張りの幻獣をなんとか撃退して退路を開こうとするアイムだったが、その幻獣はなんとたどたどしくも言葉を発した。
彼はアクィエルと共に「棺桶」の中に入っていたメギドであり、その長年の宿敵、イオド。幻獣と混じり合った状態で復活してしまい、血の匂いで暴走しかかる危険な状態であるものの、何とか自我を保っていた。
宿敵であるアクィエルがヴィータにいいように利用されていることはイオドにとっても本意ではなく、アイム、そして合流したソロモン一行に協力を申し出る。
アクィエルの行動を見ていたイオドから情報を得たソロモン一行、街で調査を進めていたイポスは同じ結論に辿り着く。
パエリの腹心であるココが「現在の友達」であり、アクィエルに「餌」のヴィータを集めさせ、幻獣を飼育して荒稼ぎをしていたのだ。
さらに傭兵団側は、ココが元王都民だが包囲戦の際に家族を失っており、その時に家族を「守ってくれなかった」傭兵団とソロモンに強い恨みを抱いていることも調べ上げたが、イポスはそれを胸の内に秘めておくことを選んだ。
道すがらイオドから情報提供を受けながら、アクィエルが向かったであろう街へと移動していたソロモン一行だったが、不完全なイオドの自我はじきに限界を迎えようとしていた。
混じり合っているがゆえにソロモンの「召喚」も受け付けることはできず、ソロモンに後事を託してイオドは討たれ、消滅した。
真相を明らかにし、押し入ってココを捕縛しようとする傭兵団であったが、そこにアクィエルが現れ、幻獣を解き放たれて逃亡を許す。
傭兵団は部隊を分けて街を守りながらココとアクィエルを追撃、ソロモン一行の合流まで戦線を保つべく必死の戦いを始めるのであった。
一方、街に到着したソロモン一行も幻獣を撃退しながら合流を目指すうち、多くの被害が生じている街の姿を見たアイムは、胸の内に燃える「怒り」を自覚する。
その「怒り」がリジェネレイトを誘発し、幻獣に破壊された聖女像の下にリジェネレイトして降り立ったアイムは、新たな力で次々と幻獣を蹴散らす。
アイムの援護のために召喚されたフラウロスとヒュトギンは若干置いてけぼりにされつつも、とりあえず援護に努めるのであった。
すでに消耗していたアクィエルは傭兵団の攻撃からココを守るうちに満身創痍となっており、もはや2人での逃走は叶わないと判断したココは計画を放棄し、アクィエルを切り捨てるも、直後に幻獣に食われ、死亡する。
一方、住民を守るため撤退せず応戦していたイポス率いる第三部隊はソロモンの到着前に潰走寸前であり、直前に負った重傷を隠して戦っていたイポスも奮戦虚しく力尽きてしまうが、戦う意思を呼び起こしてリジェネレイトを果たした。
他人の指図のままに動いているアクィエルは、新たな道さえ示せばやり直させることができると考えるソロモンだが、誰よりも信じていたココにも裏切られたアクィエルはもはや全てに絶望しており、ソロモンの言葉を受け付けず抵抗する。
アクィエルと強く結びついた「混成体」はアクィエルが生きている限り再生してしまうが、アクィエルを「混成体」と共に「棺桶」に入らせて落ち着かせ、後からアクィエルを「召喚」する、という解決策があった。
しかし、この方法を成立させるにはアクィエルがそれに従い、さらに「召喚」に応じる意思がなければならない。ソロモンは、アクィエルにもかつてイオドという「対等の友達」がいたことを訴えかける。失っていた記憶を思い出し、「友達」を作る意思を取り戻したアクィエルは提案を受け入れて「棺桶」に入り、事件は終結する。
数週間後、街では戦後処理のさなか、破壊された聖女像に代わって、「モップの聖女像」と顔だけ作られたソロモン達「お付き」の石像が作られようとしていた。
フラウロスは自分の石像が作られていないことに憤っており、同行していたヒュトギンに「何かデカいことしようぜ、プロメテウスみたいに歌って金取るとか」と雑な提案をするが、それを聞いたヒュトギンはまんざらではない様子で、アイムを巻き込む計画を練るのであった。
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