ヴァイガルドの海を船に揺られながら突き進むおかーさんことリヴァイアサン。
どこで従えたのか海のオタカラを求めるトレジャーハンターのヴィータ達の乗る船に乗船していたのだ。
おかしら、もといおかーさんと慕われるリヴァイアサンは洋上で謎の光を発見する。それは彼女にとって見覚えのある存在であった。
「よーし、決めたっ!」
リヴァイアサンは何かを閃くと船の背にある港町を襲うと突如言い出すのであった…。
◇
場面は復興を目指すペルペトゥムに移る。
ペルペトゥムは現在、物資不足の問題に直面していた。
これまで滞りなく届けられていた生活物資が急に注文通りに届かなくなったのである。
ガープがその町の商人と交渉をしているが、「商人」に良い印象の無いベレトは怒りをぶつけるべくガープと商人の元へ赴く。
「込み入った事情で」物資をまともに送ることができないと弁明する商人のヒトーカウ。
そこに怒り心頭にやってきたベレトはヒトーカウが連れている従者の男と対面し、互いに面識があることに驚く。
その従者はかつて、ベレトがメギドの記憶の覚醒前に共に奴隷として扱われ、仲間内から「ジョーゼツ」と呼ばれていた男であった。
新たな主人から「ジョゼ」という名前を貰った従者の男はベレトとの再会を喜ぶ。
◇
サンミゲル
今回のシナリオの舞台となる港町にベレト達は到着する。
これまで海路からペルペトゥムへ物資を運んでいたヒトーカウ達が抱える「事情」を実際に見てもらうために町に招かれたのであった。
ヒトーカウの屋敷に着いたガープやベレト達を迎えるジョゼや同じように奴隷としてヒトーカウに買われた従者達。
彼ら彼女らはみな充足した表情で仕事をこなしていた。
「…新しい首輪をつけられてそんなに満足か?」
ベレトはそんなジョゼ達に不満げな態度を取る。
奴隷を買う輩など信用できるはずがない、ベレトの敵意にヒトーカウは自分の素性を説明する。
この町の住民はかつて奴隷の身分を自分達の手で解放したヴィータの末裔であること。
奴隷の身分を解放する際に探し当てた海の財宝が伝説として今も語り継がれていること。
そんな経緯から、この町の商人は他の奴隷を保護し、奴隷商から守ることを使命としている。
だが王都から離れた辺境では身寄りのないヴィータは狡猾な奴隷商の餌食となってしまう。
だから敢えて自分達が奴隷商から奴隷を買うことで、彼らの身を保護している。
もちろん、奴隷達の身の自由は保障し、帰るべき所のある者にはその場所へ帰してやっている。
しかし、奴隷となった者の多くは帰るべき場所が無い、またはその帰るべき家族に売られた経緯を持つ者が多い。
ヒトーカウはそんな帰る場所の無い奴隷達に衣食住、そして仕事を与えていたのである。
彼の理念に嘘が無いことを確かめた面々は、サンミゲルの町が置かれている実情、その本題の説明を聞く。
それは、海賊による商船被害であった。海のならずもの達の邪魔によってサンミゲルの町の船は海に出られない状況にあると言う。
一方、この町にはベルフェゴールやカスピエル達3人組も来ていた。
うまい酒に連れられて訪れた面々は、寂れ果てたサンミゲルの現状に面食らう。
殊更、この町を知るそぶりのあるベルフェゴールは、酒場のヴィータから海賊被害の事情を聞き自らを町長のところへ案内するように申し出る。
◇
ベルフェゴールの要請でソロモンが合流する。
軍団総出で来て欲しいと言うベルフェゴールの真意を確かめる暇もなく、海岸から幻獣が出現する。
しかし、ベルフェゴールが頭を抱えていた理由はそれだけではなかった…。
憂鬱な表情のベルフェゴールに促されながらも、ソロモンは望遠鏡を覗き込む。
そこに写るのは、海賊船から港町を今まさに襲撃しようと指示を送っているリヴァイアサンの姿であった。
絶句するソロモン。
その頃、ベレト達のいるヒトーカウの屋敷にも海賊達が町に襲撃して来たという一報が飛び込む。
◇
サンミゲルに上陸した海賊達は執拗にヴィータを町から追い出そうと威圧する。
町に上陸した海賊に対応するメギド72の軍団員達。
しかし、町を襲う海賊に混じってインプ、ブリフォーやミノソン、グザファンなど軍団の仲間が町のヴィータを追い出していた。
驚愕する仲間達、そして一触即発となるがミノソンの説明から軍団のメギド達はこの襲撃騒ぎの根底にある、予断を許さぬ今の状況を知ることとなる。
ソロモンも急ぎベルフェゴールを連れてリヴァイアサンの船に乗り込む。
船にはいつの間にかリヴァイアサンに協力していたアガリアレプト達3人組も混じっていた。
ソロモンを待っていたと話すリヴァイアサン、ことの真相はリヴァイアサンが冒頭に目撃した海上の光から端を発する。
その正体は幻獣の卵
何かの拍子にメギドラルからヴァイガルドの海に流れ着いた卵は、孵化し巨大な成体になると周辺の生物を喰らい尽くす習性を持つ災害級の幻獣であった。
更に問題は「卵」の方にあるとリヴァイアサンは話す。
巨大幻獣が産む大量の卵、その卵も孵化するために周辺の海洋生物、また幻獣までもを吸収し尽くすという習性がある。
そしてこの周辺の海域には大量の卵が今まさに孵化している最中なのである。
孵化した幼体の幻獣は、もはや生物のいない海から陸に上がり、そして近隣のこの町に現れヴィータを襲い、更に孵化を待つ卵の養分にするため海に引きずり込む…サンミゲルの町は危機的状況にあった。
一刻も早く被害を食い止めるそのためには、町からヴィータをどのような乱暴な手段を取ってでも追い払わなければならない。
この町にベルフェゴールが来ていることをアガリアレプトから聞いていたリヴァイアサンは、かつての盟友がソロモンを必ず呼んできてくれると信じて、運良く近くで合流できた仲間のメギド達と幻獣被害を食い止めていたのであった。
◇
海賊達と協力してヴィータを避難させ、そして上陸した幼体の幻獣を各個撃破していく軍団のメギド達
ベレト達も町に上陸していた幻獣を目撃し、後にソロモンと合流を果たす。
しかし町のヴィータを全員避難させるには、まだまだ手が足りない。
そこでベレトはヒトーカウ達、商会のヴィータの協力も仰ごうと屋敷へと引き返す。
ベルフェゴールも独自の行動を開始していた。
サンミゲルの町長と面会するベルフェゴールは海賊行為の真相を町長に伝える。
にわかには信じられないと、疑念を捨てきれない町長にベルフェゴールは自分がこの町の縁者であることを明かし、その証明としてサンミゲルのかつての町の名前を話す。
この町はかつて「フェルシュング」と呼ばれていた。
そして、サンミゲルとはこの町が海運事業を始めた頃の最初の船の名前である。
その初代船長の縁の者であるとベルフェゴールは話す。
町の限られた者しか覚えていない、この町のかつての名前を知るベルフェゴールに町長は信用を向ける。
町長はベルフェゴールの助言に従い、町民の避難を約束する。
ベルフェゴールは彼に一つ聞きたいことがあると言う。
それは初代船長にまつわる悲劇の逸話、その船長を殺したと伝えられる妻の行方のことである。
町の功労者である船長を打ち殺したその女は、恩知らずな罪人として町から追放を受けたこと
その後の行方は誰も知らないということを町長は話す。
しかし、皆から慕われた船長を殺した妻の逸話だけは各地で「フェルシュングの怪物」として語り継がれるようになってしまう。
その悪名を塗り替えるように、町は今のサンミゲルへと名前を変えていた。
◇
ヒトーカウの屋敷に戻ったベレトとガープは、商会で避難誘導を行い、町民共々早くこの町から避難するように言う。
しかしヒトーカウは思わぬことを言い出す。
屋敷を放棄し、万が一商材を全て失うことになれば商会は終わりだ、命だけ助かってもその先の商売ができなくなってしまう。それはつまり奴隷達を守れないということでもある。
更には奴隷達に命じ、商材を船に積み込み一番危険な海から逃げ出そうとするヒトーカウ。
そんなヒトーカウに、ジョゼを含めた奴隷達は恐怖に声を震わせながらも、恩義のある主人のために共に命を投げ出す覚悟を言葉にする。
憤慨するベレトだが、ジョゼは恩人のために命を投げ捨てる覚悟を決めることの何がいけないのかと反論する。
「貴様が「決めた」のではない!『決めさせられた』のだっ!」
ベレトはジョゼと再会してから感じていた心のモヤモヤの正体を確信する。
それは主人のヒトーカウだけではなく、「恩人だから」と自分では何も決めず、考えず、ただ人の命令に従う
未だ染み付いている彼らの「奴隷根性」に対する怒りであった。
海に行けば間違いなく命に危険が及ぶ、自分達だって本当は逃げ出したいはずだ。
主人を想うならば、ヒトーカウに対しても逃げるように説得するはずだ。
自分の本心ではどうしたいと感じているのか、それをよく考えろ。
そして今こそ、その奴隷根性に「叛逆」する時なのだ。
「命を捨てる覚悟があるなら自分のために死ねっ!それこそが『自由』だっ!」
ベレトはそう言い残し、幻獣を駆逐するべくガープと共に屋敷を後にする。
◇
「俺の言いたいことを貴様が言ってくれた心地だ」
ガープはベレトの中に起こりつつある「変化」を感じ取っていた。
そして、屋敷を後にするベレト達を呼び止める声
それはベレト達を追いかけてきたジョゼや他の奴隷の面々であった。
自分を今まで生かしてくれたヒトーカウを裏切ることはできない。
でも、ただ逃げるのではなく、何かあるはず
みんなもこれからの暮らしを支える商材も、助かる方法が何か
だから最期まであがきたい
それが、ジョゼの、奴隷達の本心からの願いであった。
ベレトに勝算があったわけではない、しかし彼らの本心を聞き
「任せろ」とベレトは彼らの想いを果たそうと行動を開始する。
ソロモンや仲間達と合流したベレトは自身の考える策を話す。
それは船上から海上に浮かぶ孵化前の卵をこちらから殲滅し、幻獣の親玉を怒らせて誘き出すという憤怒のメギドらしい攻撃策であった。
いい線は行っている…しかし海上に網を張る「船」が足りない。
そう話していたところにジョゼ達だけ命を危険に晒すことなんてできないとヒトーカウもやってくる。
そして、商会の船を全て使っても良い、だから自分達にもこの町を守らせて欲しいと願い出る。
かくして、勝算の道筋は見えた。
◇
陸上の殲滅部隊とは別に、町中から駆り出した船にそれぞれ乗り込む軍団のメギド達。
ベレトの考案した、もう一つの策とは網に引っ掛けた幻獣の卵をハイドロボムで一網打尽にするというものであった。
慣れぬ海上戦にもメギド達は果敢に囮、船上の防衛と反撃、そして卵の爆破とそれぞれの役割を果たしていく。
その中には自ら船の操舵を買って出て見事な指揮を取るベルフェゴールの姿もあり、軍団の仲間達を驚かせる。
そしてついに、幻獣の親玉である深海蟹カニンガムがその巨体を顕にする。
すかさず、ありったけのフォトンを貰ったリヴァイアサンのメギド体がカニンガムに体当たりをし、陸上に追い詰めた状態でソロモン達が戦闘に持ち込み、撃破を果たす。
その後、生き残っていた幼体の幻獣を軍団総出で撃破、かくしてサンミゲルの町で巻き起こった幻獣騒動は終息する。
◇
全てが終わり、海を見つめるリヴァイアサンとソロモン。
リヴァイアサンがヴァイガルドの海も守ろうとしていたことに驚いたと話すソロモン
どんな世界だろうと海は海
あたしは海が好きだから、ヴァイガルドの海も、その海に船を出し生活圏を広げるヴィータも守りたいという気持ちが芽生えたことをリヴァイアサンは明かす。
そしてソロモンに、このヴァイガルドの海の向こうには何があると思う?と尋ねる。
それはまだ未知の文化圏か、まだ知らぬ生物が住む土地か、はたまた幻獣の住処なのか、まだ誰にもわからない。
だからこそ、あの向こうに何があるのか、いつかみんなで見に行きたいとリヴァイアサンは話す。
◇
ベルフェゴールはことの終息を町長に報告する。
別れ際に、町長から感謝の印として「かつての」船長が着ていたという船長服をそっくり再現させたものをベルフェゴールに手渡す。
ベルフェゴールはその場で着てみてもいいかと袖を通す。
その船長服はまるでベルフェゴールが着たことがあるかのようにピッタリと丈が合っていた。
(そりゃそうだ…元は俺が着てたんだからな)
また気が向いたら足を運ぶと伝え、ベルフェゴールは、かつて妻と共に暮らした町を後にする。
◇
ジョゼはベレトに感謝を伝える。
ベレトは、ほんの少し背中を推しただけだ、貴様を行動させたのは貴様自身だと話す。
しかしベレトは自分で起こした行動に、内心では自身が一番が驚いていた。
怒りで暴れることしか考えていなかった自分が、怒りで誰かの行動を促すことができた。
この怒りの力を起点に誰かの背中を押す…戦いの中でもそれができれば…。
ベレトは自身の新しい在り方をこの一件で掴む。
◇
ぽつんと海を見つめるベリアル
集合時間になっても現れないベリアルを迎えに来たベレトは、早速リジェネレイトを果たした姿になっていた。
早く帰って新たな姿をペルペトゥムのみんなにも見せてやるとベレトは沸き立つ。
いつの間にか、ベレトにとって「戻るべき場所」となっていた軍団やペルペトゥムの町
そこに帰るべく、ベリアルを急かし歩かせる。
ベレトの変化を感じ取ったベリアルは、のそりと後を追いかける。
海岸でたまたま拾ったオーブ
それをベレトの変化の記念として懐にしまうベリアル。
足取りの不揃いな二人の帰路で、今回のシナリオは幕を閉じる。
|