アリトンに案内され、王都の屋敷へと向かうソロモン。その屋敷はソロモンが王都民として認定されるためシバが用意した邸宅で、ソロモンに相応しい完璧な状態にすべくアリトンが管理していたのだ。
屋敷の前に着くと、石を持って興奮する不審な男の姿があった。ソロモンを屋敷の主と見定めると男は「猫が踏んで屋敷の塀から欠けて落ちた石」を売ってほしいと言う。
無償で譲るという提案を拒む男に戸惑いながら事情を聞くと、その男ハチゴが仕えている主人はそのような変わったものに興味を持ち、蒐集しているとのこと。
ソロモンたちはハチゴに案内され、塀の欠片の値段を交渉すべくルキフゲスのもとへ向かう。道中、これまた「ルキフゲスガイズ」であるジュウニゴ、同じくルキフゲスに呼ばれていたバールゼフォンと合流し町へと向かう。
その頃、ジルとシャミハザは洞窟の中で、壁に向かって話しかける人物を見かける。幻獣に襲われかけているのを見て割って入るが、シャミハザの不穏な言葉を聞きながら気を失ってしまう。
ジルは気が付くと壁画に向かって立っていた男によって、彼の同好の士であるヤリスキーの屋敷に保護されていた。
シャミハザに心の中で話しかけるジルだったが、(アジトに戻れ)(貴様では力不足だ)などシャミハザからは素っ気ない言葉しか返ってこない。
シャミハザの突然の不機嫌な態度に不満を漏らしながらも、ジルはアジトには戻らず町での調査を続行しようとする。
しかし偶然にも屋敷の使用人がルキフゲスの命によって自分を屋敷から出さないように監視していることを知る。
ルキフゲスが眺めていた壁画に描かれていたものを見ていたジルはルキフゲスに微かに疑念を抱く。
一方、町に着いたソロモン一行、その中のアリトンとフェニックスはジュウニゴが用意していた正装に身を包んでた。
「塀の石」や「礼服」と捉えどころの無い蒐集品にルキフゲスの人物像は依然謎のままである。
そんな中、町に幻獣が現れる。
これまでヴィータを襲うことは無いとルキフゲスが言っていた為、この周辺のヴィータ達は幻獣に警戒心を持っていなかった。しかし幻獣は突如として敵意を剥き出しにしてきた。
町に入り込んだ幻獣と戦闘するソロモン達、そこに件のルキフゲス本人が現れた。
襲われそうになるガイズにルキフゲスは自らの力で幻獣を一撃に葬った。
ヴィータ離れしたその戦いにルキフゲスがメギドではないかとソロモン達は疑う。
しかしソロモンがルキフゲスに訪ねるまでもなく彼はソロモンを見て「メギドラルに議席を持った」存在なら私も知っていると言葉にする。
まずは森までついて来いと要領を得ないままルキフゲスは移動を開始する。
一方、ジルの滞在する屋敷にも幻獣が1体雪崩れ込んで来ていた。
応戦するジルは身体にいつものメギドの力が入らないことに気付く。何とか自力で幻獣を仕留めるものの、そこで初めてシャミハザの存在が自分の中から消えていることを認識する。
シャミハザが消えかけていることに気付けなかったこと、そして消えてしまう焦りと不安からジルは単独で壁画のあった洞窟まで手がかりを探しに向かう。
ソロモンはルキフゲスと森の中でようやく話す機会を得る。
ルキフゲスは自分が純正メギドであることを明かす。ヴァイガルドの「お宝」に魅せられて調査メギドという体面でこちらに来ていることや、そのお宝、ひいてはヴァイガルドやヴィータに対しても守りたいという気持ちがあることをソロモンに伝え、協力関係を結ぶ。
しかし、未だルキフゲスが何をソロモン達に協力して欲しいのかはよく分からない。
とにかく一度目にした方が早いとルキフゲスは壁画のある洞窟へと足を早める。
そんなソロモンとルキフゲスの一行にジルも追いついてくる。
ルキフゲスに敵意を剥き出しにするジルだったが、その直後の幻獣との戦闘で自分がやはりソロモンの指輪によって召喚できなくなっている事実を知る。
一行は洞窟の壁画の前まで辿り着く。
その壁画には無数の幻獣の線画が重なり合うようにして描かれていた。
そしてその奥にシャミハザの絵も存在している。
ルキフゲスはこの壁画が遺物の一種であることを明かす。
「フォトンを含んだ塗料で塗ると言うことを聞く幻獣が実体化する」、「より強力な幻獣またシャミハザなどは高度な技術を持つ芸術家でないと実体化することができない」
「重なり合った線画は順序があり一番新しく取り込まれた対象は一番奥に描かれる」そして「順番に上から実体化しなければ奥の対象は実体化させられない」
壁画の持つギミックから、実体化に必要な絵画の腕を持つバールゼフォンや実体化した幻獣を倒すソロモン王の力が必要なことが明らかにされた。
更に、シャミハザの前にはルキフゲスガイズの一員であるヴィータが取り込まれていること。そしてその手前には強大な殺意を壁画の中からも放っている幻獣がいることも明かされる。
その強大な意志は壁画の内部から外の幻獣を操ることが出来、町に攻撃性のある幻獣が現れ始めたのもこの親玉の仕業であった。
シャミハザ達を助けるためには、その強力な幻獣を実体化させなければならない。
しかし今の自分にはソロモン達に頼る他ない……一瞬そんな躊躇いを覚えるジルとは別にルキフゲスはソロモン達に壁画の幻獣を出し尽くしてでも仲間のヴィータを助け出して欲しい。その為なら、条件に自分はソロモンの軍団に入り召喚を受けることも厭わないと願い出る。
ソロモンや仲間達も壁画に取り込まれたシャミハザやヴィータを救出したい想いは同じであった。
一同の壁画の幻獣を一掃する作戦が開始される。
幻獣殲滅に際して、ルキフゲスはソロモンの召喚を受けて共に戦う。
しかしただのヴィータでしかないジルは、幻獣との戦闘に参加することが出来ない。
シャミハザが戻ってきた時の為に、今は待機していて欲しいと仲間達も声をかけるが、ジルはシャミハザが本当に自分の元へまた戻ってくるのか確証も持てないまま不安を募らせていた。
バールゼフォンは取り憑かれたように壁画の幻獣に想い想いの色を塗ることに没頭していた。
疲れが限界に達した彼にルキフゲスは自分の持っていた遺物を「かつて同じ感性を持っていたと一方的に思っていた相手への贈り物」だと言って彼に託す。
仲間を助ける為なら自分を省みないルキフゲスに対してジルは、一瞬でも躊躇ってしまった自分に不甲斐なさを感じると思いを吐露する。
ルキフゲスは自分も尽くす手のない壁画の向こうの仲間にずっと声をかけ続けていたこと。シャミハザにもジルの言葉が届いているはずだと伝える。
壁画を前にシャミハザに語りかけるジル
忠告通りアジトに戻って冷静に対処するべきだったことや焦って空回りしてしまっていた思いの丈を明かす。
そして、その上でシャミハザに何かが起きた時、頼れる相棒として力になれる自分でありたい。そう成長したいと壁画のシャミハザに自分の想いを話す。
幻獣の討伐も大詰めとなり、いよいよ壁画の中で一番強力な幻獣が実体化する。
壁画のヌシの幻獣はバールゼフォンに狙いを定め、これ以上余計なものを実体化させないように襲い掛かる。
すかさずジルが囮となり、ヴィータの身でありながら幻獣の注意を引き付ける。
幻獣がジルに攻撃を向ける間一髪のところで、ジルの耳元にシャミハザの声が響く。そして2つの魂を宿したメギドは復活を遂げる。
リジェネレイトを果たしたシャミハザによって幻獣は討ち倒される。
戦闘の余波で崩れ落ちる洞窟であったが、ルキフゲスの仲間のヨンゴも無事助け出された。
大仕事の果てにリジェネレイトの兆候を発するも眠りに落ちるバールゼフォン、シャミハザが無事に返ってきて喜ぶと同時に壁画の前で誓った強くなるという想い新たにするジル、蒐集家としての熱意も完全復活したルキフゲス、一行が町に戻るところでストーリーは締め括られる。
ちなみに、ソロモンが持って来ていた「塀の石」はルキフゲスに何の興味も惹くことはできなかった……。
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